近年よく耳にするようになった「クロスメディア」という言葉。

しかし、マーケティングの分野では日々新しいメディアや宣伝手法が出てきて、似たようなカタカナ用語や横文字が飛び交っているので、「クロスメディアって何なのか、実はよく分かっていない」という方もいるのではないでしょうか?

今回は、「クロスメディア」がどんなマーケティング手法なのか、それぞれのメディア特性を整理しながら、そのメリットやポイントを見ていきましょう。

そもそも「クロスメディア」って何?

「クロスメディア(cross-media)」とは、1つの情報・コンテンツを機能や特徴の違う複数のチャネル・メディアで展開することにより、事前に設定したゴール(購買、申込、来店など)までの導線を作るマーケティング・プロモーション手法のことです。

具体的には、マスメディア、WEB、紙媒体、OOH(屋外広告)、イベントなどを組み合わせて展開します。

イメージしやすい事例としては、「続きはウェブで!」のテレビCMや、雑誌やチラシなどにQRコードを掲載して携帯サイトに誘導する、などが挙げられます。

「メディアミックス」との違いは?

「クロスメディア」と混同しやすいマーケティング用語として、「メディアミックス」が挙げられます。メディアミックスとは、“様々な広告媒体に広告を載せていく手法”のことですが、これだけ聞いてもクロスメディアとの違いは分かりづらいかもしれません。

もう少し詳しく定義を見てみると、

《メディアミックス》
”同じ広告”を複数メディアに掲出して、商品やサービスを広くアピールする手法のこと。

《クロスメディア》
広告を見たターゲットを”別のメディアへ誘導”させながら、ゴール(購買や申込など)までの導線をつくる手法のこと。

といった違いがあります。

簡単に言うと、メディアミックスは広告の「面」を増やして「認知度アップ」を狙うのに対して、クロスメディアは「線」を作って「ゴールへの誘導」を狙うものだと言えます。

クロスメディアのメリット

クロスメディアには、大きく3つのメリットがあります。

1. 質の高いユーザーを取り込むことができる

クロスメディアは複数メディアを使ってゴールまでの導線をつくるので、ターゲットは複数メディアの情報に触れながらゴール(購買、申込、来店など)へと辿り着きます。なので、ゴールに辿り着いたユーザーは質が高い(見込みの高い)傾向にあります。

2. それぞれの広告媒体における不足が補い合える

広告媒体にも、それぞれ得手・不得手があります。

たとえば、テレビCMであれば尺が短く伝えられる情報量は少ないですが、リーチ量は圧倒的です。雑誌であればリーチ量はテレビに劣りますが、紙媒体という特性上、様々な情報が伝えられます。

そこで、クロスメディア戦略でテレビCMでは商品名やブランドの世界観を伝え、雑誌広告では商品の効能や成分など具体的な情報を伝えるなどの使い分けをしながら組み合わせることで、それぞれの媒体の苦手分野を補い合い、広告効果を高めることが可能です。

3. ユーザーとの接点を広げる

クロスメディア戦略は、複数媒体を使って相乗効果を狙いつつ購買や申込に繋げる設計ですが、色々な媒体を使うことでユーザーへの視点を広げるという効果もあります。

単一媒体への広告出稿ではターゲットとなるユーザーが限られてしまいますが、 クロスメディア戦略を取ることで、これまで発見出来なかったユーザーニーズが見つかることもあります。


と、今回はクロスメディアとは何なのかとそのメリットをお伝えしました。次回、後編では、クロスメディア戦略を立てるために知っておくべき媒体特性と戦略の立て方をお伝えします。